アルバイト採用の担当者が抱えがちな悩みの1つが、「アルバイトがすぐに辞めていく」というものです。せっかくコストと時間をかけて採用・教育してきたアルバイトスタッフが辞めてしまうと、また費用や労力をかけ直して人員を拡充する必要が出てきます。アルバイトの定着率を高めることは、効率的な現場経営に欠かせないといえるでしょう。
本記事では、アルバイトスタッフが辞めていく主な理由に加え、現状を脱するためのポイントを紹介します。アルバイトの離職率上昇をなんとか食い止めたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
アルバイトが辞めていく理由とは
アルバイトが辞めていく理由は、店舗起因のものからスタッフ自身の個人的な理由によるものまでさまざまです。
株式会社ビズヒッツが行なった「アルバイトを辞めた理由に関する意識調査」によると、アルバイトを辞めた理由としてもっとも多い回答は「人間関係が悪い」。次いで、「卒業・進学・就職のため」「学業に専念するため」「仕事内容が合わない」と続きました。業務とは関係のないプライベートな事情もありますが、店舗側の対応次第で改善できそうなものも多いです。
ここでは、アルバイトが辞める理由を以下の4パターンに分けて解説します。
- 人間関係が合わなかった
- 待遇に不満があった
- 仕事内容が合わなかった
- 個人的な理由で辞めざるを得なくなった
人間関係が合わなかった
アルバイトを辞める理由としてもっとも多く挙げられるのが「人間関係が合わない・悪い」といったものです。
具体的には、パワハラに近い上司やリーダーがいたり、同僚グループにうまく馴染めかったりといったケースが挙げられます。上司やリーダーが高圧的すぎる態度をとっている場合などは、当然ながら早急な改善が必要です。パワハラの可能性が疑われる場合は、本部主導で従業員アンケートをとるなど、原因究明が必要になるでしょう。
また、採用したアルバイトスタッフと既存の従業員グループの属性が違いすぎる場合も要注意です。例えば、主婦ばかりのなかに大学生が混ざるとやりづらさを感じることもあるでしょう。採用段階で職場にうまく馴染めそうな人物かどうかを見極める必要があります。
待遇に不満があった
時給や業務内容など、待遇に不満を感じて辞めるケースも少なくありません。例えば、以下のような例が挙げられます。
- 時給がなかなか上がらない
- 長時間労働が多い
- 肉体的に過酷すぎる
- もっと割のよいアルバイトが見つかった
アルバイトスタッフは、「より楽に」「より多く」給与を得たいと考えるものです。よりよい待遇のアルバイトが見つかれば、辞めてしまうのも当然です。長時間労働や肉体的な疲労を伴う業務が多い場合も、時給を高く設定していなければ「割に合わない仕事」と判断されてしまうでしょう。
特に、店舗運営に大きく貢献しているスタッフを失うのは大きな痛手です。貢献度合いに応じて時給を引き上げるなど、アルバイトスタッフの努力が報われる仕組みを構築することが大切になります。
仕事内容が合わなかった
また、応募時に想像していた仕事内容と実際の業務が異なり、合わなかったというケースもあります。具体的には以下のような例です。
- 思っていた業務と違った
- 同じような業務の繰り返しで飽きてしまった
- 業務の難易度が高くついていけなかった
例えば、飲食店の求人に応募し、ホールスタッフとして勤務するイメージを抱いていたにもかかわらず、実際には調理現場での業務ばかりであれば期待を裏切ることになるでしょう。逆の場合も同様です。
また、長期にわたって同じ業務を担当するのが「楽だ」と感じるスタッフもいれば、「飽きた」と感じるスタッフもいます。うまく各スタッフの意向をヒアリングしながら、やりがいを持って働ける環境を作っていくことが求められます。
さらに業務の難易度が高く、店長やリーダーに叱られてばかりで嫌になって辞めてしまうというケースも少なくありません。高度な業務を任せるのであれば、マニュアルを充実させたり、OJT(On the Job Training:実務を通じた教育)の期間を長くとったりするなど、教育環境の整備も必要になります。
個人的な理由で辞めざるを得なくなった
店舗起因ではなく、個人的・プライベートな理由で辞めるアルバイトも多いでしょう。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 学校の卒業
- 自宅の引っ越し
- 自身や家族の体調不良
- 学業や家庭の事情との兼ね合い
これらの個人的な理由による離職は仕方ないと考えがちですが、実は面接時点で予想できるものも少なくありません。例えば、卒業のタイミングや学業の忙しさは履歴書や面接での質疑応答から確認できます。
将来的に辞める要因になりそうなものは面接で確認しておいたり、採用自体を控えたりすることで、思わぬタイミングでの離職を防ぐことが可能です。
アルバイトが辞めていく状態を脱するためのポイント
ここまで紹介した「アルバイトが辞めていく理由」を踏まえ、現状を脱するためにはポイントを押さえた採用活動・現場運営の改善が必要です。
採用時のミスマッチを防ぐ
まずは、採用側とアルバイトスタッフの勤務条件や希望に関するミスマッチを防ぐことがもっとも大切です。認識や希望にズレがある状態で採用してしまえば、双方がストレスを抱えることになり、早期離職につながります。
本記事で紹介した通り、人間関係や待遇、仕事内容など、実際に働いてみて感じるミスマッチによって辞めるアルバイトスタッフは多いです。そもそもミスマッチが起きそうな人材は採用しないことが、離職率を下げる第一歩だといえるでしょう。
例えば、以下のような対策が考えられます。
- 職場環境や待遇について募集要項に明記する
- 理想とする人材が集まりやすい求人媒体を見極める
- 採用チャットボットを導入して条件に合う応募者とだけ面接をする
求人媒体ごとの広告効果の測定や採用チャットボットによる自動スクリーニングは、ツール・システムによる仕組み化が可能であり、採用担当者の業務効率化にもつながります。アルバイト採用においてもIT技術によるDX(Digital Transformation)が注目されており、現場業務の効率・精度を上げる取り組みが重要になりつつあります。
現場のコミュニケーションを促進する
次に、新規採用したスタッフがうまく馴染めるよう、現場責任者やリーダーレベルが率先して現場のコミュニケーションを促進することです。
最初の数回の勤務でうまくコミュニケーションがとれなければ、そのまま周囲と関係を構築できず、辞めてしまうスタッフも出てきます。人当たりのよいスタッフを指導役につけるなど、新規採用したスタッフがすぐに馴染めるよう工夫しましょう。
さらに、すでにある程度の期間働いているスタッフに対しても「現状の業務分担で不満はないか」「もともと希望していた業務に就けているか」など定期的にヒアリングすることが大切です。不満を事前に解消することで、思わぬ離職の防止につながります。
教育体制を整える
一生懸命覚えようとしているものの、業務の習得率が悪く叱られてばかりいれば、アルバイトは辞めたくなるものです。定着率を高めるため、そして新規採用したスタッフの即戦力化を図るためにも、教育体制の整備は重要です。
業務習得の意欲があるスタッフを採用することは前提として、OJTのため指導役の先輩スタッフを一定期間つけたり、書面でのマニュアルを完備したりといった工夫が考えられます。着実に業務を身につけてもらうことで、指導にかかる手間が少なくなり、現場運営が効率化されます。
待遇・職場環境の改善を図る
さらに、待遇・職場環境の改善を図ることで、既存スタッフに「長く働き続けたい」と思ってもらう工夫も大切です。
例えば、長期にわたって貢献してくれているスタッフに対しては時給アップで報いたり、過酷な作業が発生している現場では効率化や負担軽減の工夫をしたりといった対策が考えられます。新たな機材を導入したり、冷暖房の環境を整えたりするだけでも、アルバイトスタッフは「自分たちのことを考えてくれている」と感じ、より帰属意識を持って働いてくれるようになるはずです。
また、福利厚生など従業員割引を導入するのも効果的です。働いているからこそ得られるメリットがあれば、勤務を継続するモチベーションになります。
まとめ
本記事では、アルバイトスタッフが辞めていく主な理由と、それを踏まえたうえでの対策のポイントを紹介しました。
アルバイトスタッフが辞めてしまう理由はさまざまですが、例え個人的な理由によるものだったとしても、採用時点の工夫などで離職率を下げることは可能です。また、採用時点でできるかぎりミスマッチの可能性を排除しておくことで、多くの早期離職は防げるでしょう。
ただし、人手不足が慢性化している現在、人員確保を優先するため「職場に多少合わない人材であっても採用せざるを得ない」といったケースも少なくありません。ミスマッチをなくしつつ必要人数を確保するためには、そもそもの応募者数を増やす取り組みが不可欠です。例えば、求人サイトに応募があった際に迅速にアプローチすることで、他社の求人に流れてしまう可能性を抑えられるでしょう。
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