アルバイト採用プロセスにおけるDXの実現方法|自動化・仕組み化のコツを解説

さまざまな業界で「DX」の推進が注目されていますが、採用業界においても同様です。採用プロセスにおけるDXは、うまく取り入れることで効率的な人材の確保や定着率の向上につながるからです。特に、大量かつ迅速にスタッフを集める必要があるアルバイト採用においては、DXによる効率化が大きな効果を発揮します。

本記事では、アルバイト採用におけるDXの実現方法について、自動化や仕組み化のコツをまじえて紹介します。アルバイト採用の効率化や精度向上に課題を抱えているという方は、ぜひ参考にしてみてください。

アルバイト採用にDXが求められる背景

そもそもDX(Digital Transformation)とは、ツールやシステムなどIT機器の導入によって既存ビジネスのあり方やアプローチに変革をもたらす取り組みを指します。アルバイトの採用プロセスにおいては、担当者が追われがちな応募者のフォローをツールによって仕組み化したり、チャットボットを活用することで自動で応募者をスクリーニングしたりといった活用が可能です。

ここではまず、アルバイト採用にDXが求められる背景を紹介します。

人手不足が深刻化している

まず、少子高齢化によって生産年齢人口が減少し、アルバイト現場の人手不足が一層深刻化しているという現状が挙げられます。従来の採用アプローチを続けているだけでは必要な人数が集まらず、状況を打破する手段の1つとしてDXが求められているのです。

2022年に帝国データンクが全国約2万社に対して実施した調査によると、アルバイトやパートなどの非正社員が不足している企業は全体の28.0%でした。あまり高くない数字に見えますが、業種別に見ると状況は大きく異なります。具体的には、飲食店が76.6%、娯楽サービスが50.8%、飲食料品小売が49.4%、旅館・ホテルが47.6%と、多数のアルバイトスタッフが必要な業種では約半数やそれ以上の企業が人手不足に陥っていたのです。

しかし、ただ求人広告を増やすだけでは採用コストが膨らんでしまいます。採用コストを増やすことなく必要な人材を効率的に集めるため、ITツールなどを駆使したDXによる変革が求められています。

アルバイトの採用単価が上昇している

さらに、人手不足の深刻化に伴い、アルバイトの採用単価が高騰していることも背景の1つです。より的確にターゲット層にアプローチし、採用活動のコストパフォーマンスを上げていく必要があります。

人手不足に陥っているのはどの業界でも同じであるため、人材獲得の競争は一層激しさを増しています。単純な手段としては、広告の出稿量を増やしたり、アルバイトスタッフの待遇を改善したりといった方法が考えられますが、これらの手段を多くの企業が実施した結果として、採用単価の高騰に拍車がかかっているのでしょう。

採用単価の上昇を吸収するには、採用効率や定着率を上げることで1人あたりの採用コストを下げる必要があり、その手段としてDXが注目されています。

≫ アルバイトの採用コストを削減する3つの方法!単価削減のコツやコストを削減できる採用手法を紹介!

採用担当者の負担が増加している

「人手不足」といえばアルバイトスタッフの不足に注目しがちですが、人手が足りないのは採用現場も同じです。

多様な採用アプローチが登場する一方で、採用担当者のキャパシティには限界があります。SNSの活用など新たな手法にチャレンジすべきとはわかっていても、人手不足によって対応できないという現場は少なくありません。かといって採用担当者を安易に増やしてしまえば固定費が上がることとなり、企業経営を圧迫してしまいます。

DXによって採用プロセスを効率化し、採用担当者の負担を軽減することで時代に合った採用手法へのチャレンジが可能となります。既存のアプローチ・既存の人員で乗り切ろうとしていては、採用DXに積極的な競合他社に後れをとることになるでしょう。

アルバイト採用プロセスにおけるDXの実現方法

アルバイト採用においてDXを推進するなら、まず最初に取り組むべきは「採用プロセス」の効率・精度向上です。ここではアルバイト採用プロセスにおけるDXの実現方法として、5つのアプローチを紹介します。

応募者フォローの迅速化・仕組み化

1つ目は、求人サイトなどを通じて応募があった際のフォローの迅速化・仕組み化です。

採用現場の人手が限られるなか、複数の求人媒体における応募状況を常に把握し、迅速にフォローするのは困難でしょう。しかし、早急に対応しなければ、応募者は他社の求人に流れてしまう可能性があります。アルバイト求人への応募者は、複数の案件に同時に応募していることがほとんどだからです。

求人媒体に応募が入った際、システムを通じてすぐに通知が入り、応募者の反応がよいSMSなどでフォローできる状態にしておけば、貴重な応募者を逃す可能性が低くなります。結果的に採用効率の大きな向上が見込めるでしょう。

採用チャットボットによる応募者スクリーニング

アルバイト採用において近年注目されているのが、採用チャットボットの活用です。自動で応募者とのやりとりを行なうだけでなく、採用条件に合う応募者にのみ面接の案内を送るといったスクリーニングの役割も果たします。

応募者が求人サイトを通じて応募すると、チャットボットから自動でメッセージが配信され、応募者はいくつかの質問に答えることになります。希望の勤務日数や曜日、時間帯などをヒアリングした結果、条件に合う回答をした応募者にのみ面接の案内を送ることが可能です。そもそも条件の合わない応募者が面接にたどり着くことはないため、担当者が余計な時間を費やす必要がありません。

募集要項に条件を明記していたとしても、すべての文章を読む応募者は多くありません。チャットボットによる質疑応答をはさむことで、確実なスクリーニングが可能となります。

求人媒体ごとの広告最適化

採用コストが上昇していることから、広告の費用対効果を高める取り組みも不可欠です。複数の求人媒体を利用する場合、個別に管理していては全体の動きを可視化できず、効率の良い広告投下が難しくなります。

システムによって各求人媒体における広告の出稿状況や募集状況を一元管理すれば、媒体ごとのコストパフォーマンスが一目瞭然となり、出稿量のバランスやタイミングなどを見極めるのに役立ちます。

採用サイト作成の効率化

アルバイト採用にあたって自社採用サイトを作成する企業は多いですが、その作成方法にも効率化のコツがあります。インターネットで検索すればサイトの構築方法は簡単に調べられますが、重要なのは前後の採用プロセスとの連携です。

例えば、採用管理システムと連動する形で採用サイトを作成することで、その後の採用プロセスとうまくつなげることが可能です。また、indeedなどの求人検索エンジンに適したサイトを構築すれば、求人情報の自動配信が可能となり、採用業務の効率化につながるでしょう。

面接日程・選考状況の一元管理

応募者との面接日程の設定などについても、1つのシステムで一元管理することで、求人媒体を個別にチェック・管理する必要がなくなります。毎日のチェック作業にかかる時間が大幅に短縮されることで、採用業務の効率化につながり、新たな取り組みに時間を割く余裕も出てくるでしょう。

選考状況についても、全体の進捗が可視化されれば、広告の出稿量のコントロールや各店舗責任者との連携がとりやすくなります。採用活動においてタイムリーな調整や連携が可能になることで、本部担当者・現場ともに業務効率を最適化できます。

アルバイト採用においてDXを推進するコツ

アルバイト採用におけるDXにはさまざまな効果が期待できますが、ただツールやシステムを導入すればよいというわけではありません。ここでは、アルバイト採用におけるDX推進のコツを2つ紹介します。

いきなり大きな予算をかけない

まず1つ目は、いきなり大きな予算をかけないということです。DXというと、数百万円といった大きなコストをかけた投資というイメージを持つかもしれません。しかし、たとえ大きな予算をかけていなくても、システムやツールの導入が現状の業務に変革をもたらすなら、立派なDXの取り組みだと呼べます。

まずは小さな投資から始めたうえで、DXの必要性や考え方を徐々に社内に浸透させ、費用対効果を見極めながら推進していくのが理想だといえます。

システム・ツールによって複雑化しすぎない

DXによって効率化できる業務は多いですが、各課題に個別に取り組んでいてはかえって効率が悪くなります。複雑な仕組みを構築してしまっては、現場がついてこれず、真の効果が発揮されません。多様なシステム・ツールを一気に導入しても、現場は混乱してしまうでしょう。

最初の段階では、できるかぎり1つのシステム・ツールでさまざまな業務のDX推進につながるのが理想です。一定の効果が発揮されたのを確認し、現場従業員もDXのメリットを実感したあとで、より規模の大きいプロジェクトを検討するのがよいでしょう。

まとめ

本記事では、アルバイト採用におけるDXの実現方法として、5つの具体的なアプローチを紹介しました。

人手不足の深刻化や採用単価の高騰により、採用現場におけるDXはもはや不可欠ともいえます。しかし、単純にツールやシステムを導入すればよいというわけではありません。社内を混乱させることがないよう、シンプルな仕組みで効率化や精度向上につなげることが大切です。

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