【2024年】最低賃金の引き上げ!企業に与える影響とは?必要な対処法を紹介!

2024年10月から今年も最低賃金の引き上げが行われます。最低賃金の引き上げ自体は以前よりニュースになっていたものの、アルバイトを多く雇用している企業側にとっては頭が痛い問題ではないでしょうか?

本記事では、最低賃金の引き上げが与える影響や対処法について詳しく解説します。

2024年7月25日に厚生労働省の中央最低賃金審議会が最低賃金において、最低賃金の引き上げ額の目安が発表されました。

2024年は平均引き上げ額の全国平均が過去最大の51円引き上げとなり、概ね5%〜6%引き上げた自治体が多くあります。

アルバイトや正社員など全ての従業員を雇用する企業は、最低賃金法に基づいて国が決めた最低賃金額以上の給与を支払わなければなりません。最低賃金を下回る給与で働く契約は、双方が合意していた場合であっても法律により無効とされます。

都道府県毎に毎年定められる地域別最低賃金と特定の産業毎に定められる特定(産業別)最低賃金の2種類があります。

このうち、多くの人がイメージする地域別最低賃金を中心に詳しくみていきましょう。

全国の最低賃金一覧

都道府県最低賃金時間額発効日
北海道1,010円令和6年10月1日
青森953円令和6年10月1日
岩手952円令和6年10月27日
宮城973円令和6年10月1日
秋田951円令和6年10月1日
山形955円令和6年10月1日
福島955円令和6年10月1日
茨城1,005円令和6年10月1日
栃木1,004円令和6年10月1日
群馬985円令和6年10月1日
埼玉1,078円令和6年10月1日
千葉1,076円令和6年10月1日
東京1,163円令和6年10月1日
神奈川1,162円令和6年10月1日
新潟985円令和6年10月1日
富山998円令和6年10月1日
石川984円令和6年10月1日
福井984円令和6年10月1日
山梨988円令和6年10月1日
長野998円令和6年10月1日
岐阜1,001円令和6年10月1日
静岡1,034円令和6年10月1日
愛知1,077円令和6年10月1日
三重1,023円令和6年10月1日
滋賀1,017円令和6年10月1日
京都1,058円令和6年10月1日
大阪1,114円令和6年10月1日
兵庫1,052円令和6年10月1日
奈良986円令和6年10月1日
和歌山980円令和6年10月1日
鳥取957円令和6年10月5日
島根962円令和6年10月2日
岡山982円令和6年10月2日
広島1,020円令和6年10月1日
山口979円令和6年10月1日
徳島980円令和6年11月1日
香川970円令和6年10月2日
愛媛956円令和6年10月13日
高知952円令和6年10月9日
福岡992円令和6年10月5日
佐賀956円令和6年10月17日
長崎953円令和6年10月12日
熊本952円令和6年10月5日
大分954円令和6年10月5日
宮崎952円令和6年10月5日
鹿児島953円令和6年10月5日
沖縄952円令和6年10月19日

出典:厚生労働省のホームページより一部抜粋

2023年は平均時給が1,000円を超えた都道府県が8つでしたが、2024年では16都道府県に増加(岩手県と徳島県を除く)しました。

今回の引き上げにより全国加重平均額は1,055円(前年1,004円)を超えました。

最低賃金引き上げの計算方法

最低賃金=時給だけでなく日給や月給にも存在しており、それぞれの賃金体系によって計算方法が変わります。

<時間給の場合>
時間給の場合は最低賃金以上の賃金を支払っていれば問題ありません。

<日給制の場合>
日給制の場合は、日給÷1日の所定労働時間で最低賃金以上かどうか計算します。

最低賃金が957円の鳥取県で1日の所定労働時間が8時間のケースの場合は、日給が7,656円以上であれば法律を遵守できます。

7,656円÷8時間=957円

<月給制の場合>
月給÷1ヵ月の平均所定労働時間が最低賃金以上でなければなりません。

広島県(最低賃金が1,020円)で月給が17万6,800円、年間の所定労働日数が260日、1日の所定労働時間が8時間のケースではどうなるのか計算すると以下のようになります。

(17万6,800円×12ヵ月)÷(260×8時間)=1,020円

日給制や月給制の場合は、所定労働時間や支払う給料、事業所の所在地によって、最低賃金額が適正かどうかが変わります。

最低賃金引き上げが採用企業に与える影響

10月以降実施される最低賃金の引き上げは、アルバイトの採用を行っている企業にもさまざまな影響があります。

どのような影響があるのか順番に詳しく解説します。

雇用しているアルバイトの人件費が高騰する

最低賃金の引き上げは雇用しているアルバイトの人件費の高騰を招きます。

例えば、2024年8月に大分県の企業が時給899円で20人のアルバイトを毎月90時間ずつ雇用している場合に支払う給料は161万8,200円です。

899円×90時間×20人=161万8,200円

しかし、2024年10月以降は最低賃金が954円に引き上げられるので、同じ条件でも支払う給料が増加します。

954円×90時間×20人=171万7,200円

また、夜10時以降に働いているアルバイトを雇用している場合は、さらに人件費が増加します。

アルバイト10人が毎月60時間の時間外勤務をしていた場合に支払う給料を計算してみましょう。

引き上げ前:(899円×125%)×10人×60時間=67万4,400円
引き上げ後:(954円×125%)×10人×60時間=71万5,500円

夜間の勤務にアルバイトを雇用している企業にとっては負担が重くなります。

採用にかかる予算の確保が難しくなる

これから新しくバイトを採用する場合、最低賃金の引き上げが行われると、募集する賃金も高くなります。人件費の高騰が予想されるため、今まで以上に採用にかける予算の確保が難しくなるでしょう。

他社も最低賃金の引き上げを機に募集する賃金を高くするので、少ない人材の奪い合いが激化する可能性があります。

物価の上昇や景気が良いとまではいえない状況で採用コストが多くかかるため、会社の業績が悪化する可能性があります。

既存のアルバイトのモチベーション低下のつながる可能性がある

法律を遵守するために新人のみの時給を最低賃金額以上に上げた場合、もともと10月以降の最低賃金額以上で働いている中堅やベテランのアルバイトのモチベーション低下につながる可能性があります。

勤続期間の長いアルバイトは「これまで長期間貢献してきたのに納得いかない」「自分たちの方が新人よりも責任のある業務をやっているのに不公平だ」といった不満を持つ人が増えるでしょう。

法律を遵守さえしていれば問題がないとは考えないようにしましょう。

最低賃金引き上げへの対処法をいくつか紹介します。対処法を間違えると、人材の確保が難しくなるケースもあるので、ぜひ参考にしてみてください。

求人募集内容の見直し

最初にやらなければならないことは、求人募集内容の見直しです。地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合は50万円以下の罰金、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金を支払わなかった場合は30万円以下の罰金となります。

求人募集に提示する時給は、地域の最低賃金以上の金額に更新しなければなりません。

働いているアルバイトの給料見直し

働いているアルバイトの給料見直しも重要です。現在最低賃金未満で働いているアルバイトがいる場合、時給を最低賃金以上に上げてください。

また、可能であれば、新人や勤務歴の浅い人だけでなく、中堅やベテランのアルバイトの給料見直しも検討しましょう。

なぜなら新人だけ給料を上げて、中堅やベテランの給料は上げない場合、スタッフ間の公平性が担保されなくなるからです。

新人の募集も重要ですが、今働いてくれているアルバイトの離職を防ぐことも重要です。

業務効率の改善

最低賃金の引き上げにより人件費が高くなるため、雇用しているアルバイトの人数が多ければ採用コストが高騰します。

求人票の見直しなども行う必要があるので、採用担当者に支払うコストも高くなるでしょう。

採用コストの高騰を抑えるための手段としては、採用管理システムの導入などによる採用業務の効率化があります。

採用管理システムを導入すると以下のようなメリットがあります。

  • 応募者対応にかかる時間を削減できる
  • より効果の高い媒体に絞って求人を出せる
  • 求める人材を採用できる

業務効率の改善を行うことで、最低賃金引き上げによる影響を抑えることが可能です。

公的支援制度の利用を検討する

最低賃金引き上げを契機に公的支援制度の利用を検討しても良いでしょう。

<キャリアアップ助成金>
内容:最低賃金を3%以上引き上げると助成金が支給される
助成金:1人あたり3万3,000円〜最大6万5,000円

<業務改善助成金>
内容:事業場内最低賃金を一定額引き上げると設備投資にかかった費用の一部を助成される
助成金:生産性向上のための設備投資等の費用に一定の助成率をかけた金額と助成上限額を比較していずれか安い方(最大600万円)

<中小企業向け賃上げ促進税制>
内容:者等が前年度より給与等を増加させると、増加額の一部を法人税から税額控除できる
助成金:
・支給額が1.5%増加した場合は増加額の15%を法人税か所得税から控除
・支給額が2.5%増加した場合は税額控除率を15%上乗せ
・教育訓練費の額が前年よりも10%以上増加した場合は税額控除率を10%上乗せ

※いずれも2024年10月現在の情報です。

これらの制度を活用すれば、最低賃金の引き上げをした給料分の負担を抑えられます。

最低賃金の引き上げによる採用コストの増加を抑えたいと考えている人には、採用管理システムの導入をおすすめします。

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