
人手不足が深刻化し、各店舗単独での採用難易度が年々上がっています。
「募集をかけても応募が来ない」「店舗間で応募数に偏りがある」といった課題を解決する手法として、近隣の複数店舗や地域単位でまとめて募集を行うエリア採用が注目されています。
本記事では、アルバイト・パート採用におけるエリア採用と店舗別採用との違い、具体的なメリット・デメリット、運用の成功ポイントについて解説します。
エリア採用(エリア一括採用)とは?
エリア採用とは、店舗ごとに求人を出すのではなく、特定の地域で一括して求職者を募集し、採用後に適性や希望、店舗の状況に合わせて配属先を決定する採用手法のことです。
近年ではアルバイトやパート採用においても導入する会社が増えています。
エリア採用と店舗別採用の違い
店舗別採用は、各店舗が個別に求人媒体へ掲載し、その店舗で働くことを前提に応募を受け付ける方法です。
その一方でエリア採用は、「国分寺市エリア」「渋谷駅周辺」といったように広い地域で募集をかけ、その地域内で勤務可能な人材を採用する方法です。
| 店舗別採用 | 各店舗が個別に求人媒体へ掲載し、その店舗で働くことを前提に応募を受け付ける方法 |
| エリア採用 | 「国分寺市エリア」「渋谷駅周辺」といったように広い地域で募集をかけ、その地域内で勤務可能な人材を採用する方法 |
エリア採用を使うことで、店舗によって発生する過剰人員や欠員に応じた柔軟な人員配置が可能になります。
エリア採用がアルバイト採用で注目される背景

少子高齢化による労働人口の減少に伴い、好立地や人気ブランドの店舗以外では、必要な人数のアルバイトやパートを集めることが困難になっています。
その一方で、アルバイトやパートで働きたい人は勤務先への通いやすさを重視しつつも、より条件の良い職場を求めて広い範囲で検索を行う傾向があります。
企業側にとっても、店舗ごとに募集した場合、第一優先ではないが可能なら働いても良いと考えているアルバイトやパートを取りこぼすリスクがあり、採用コストも割高になりがちです。
エリア単位で一括して広告を出し、応募者の受け皿を広げることで、より多くの応募者を集めて効率的に採用する人員を確保しやすくなります。
企業がエリア採用を導入するメリット
エリア採用を導入すれば、もちろん母集団形成の拡大もありますが、他にもさまざまなメリットがあります。ここからは、エリア採用を導入するメリットについて、詳しくみていきましょう。
・応募者を取りこぼす可能性を低くできる
・地域のニーズに応えることができる
・人材が定着しやすくなる
応募者を取りこぼす可能性を低くできる
店舗別採用では、人気店に応募が殺到してお断りする一方で、近隣の不人気店では人手不足が起きることがあります。
しかし、エリア採用を導入した場合、人気店を希望する応募者に対して「この店は人手が足りているけど、近くの店舗なら採用できる可能性があります」と案内可能です。
特定の店舗で採用されなかったとしても、近隣店舗へ誘導することで、貴重な応募者を取りこぼすリスクを最小限に抑えられます。
地域のニーズに応えることができる
全国展開しているチェーン店であっても、地域ごとに顧客層や繁忙時間は異なります。エリア採用を導入することで、その地域の特性を熟知し、管理・統括を行うエリアマネージャーが、地域ごとの細かなニーズに合わせて人員を配置することが可能です。
例えば、ビジネス街の店舗ではスピード重視の接客が求められる一方、住宅街の店舗では顔なじみの常連客との会話が重視されるなど、求められる接客スキルは異なります。
エリア採用によって、テキパキ働くことが得意な学生はビジネスマンの多い駅前の店舗、丁寧な接客が得意な主婦・主夫は住宅地に近い郊外店へ配置するといったことも可能です。
人材が定着しやすくなる
自宅近くの地域に住む人材は、通勤までに時間をかけずに済むので、長く働き続ける傾向があります。
しかし、勤務している店舗の人員が過剰になると、シフトに入れず収入が減少し、離職を招くかもしれません。
エリア採用の制度を導入した場合、所属する店舗でシフトに入れない場合でも近隣店舗で勤務ができる可能性があるので、アルバイトやパートは安定した収入を確保しやすくなるでしょう。
社員や人事担当者がエリア全体でアルバイトやパートをフォローし、愛着を持ってもらう環境を作ることで、長期的に勤務してくれる可能性が高くなります。
エリア採用のデメリットと運用上の課題
多くのメリットがある一方で、エリア採用にもデメリットがあります。導入前に運用フローを整備しなければ、現場の混乱を招くかもしれません。具体的なデメリットを順番にみていきましょう。
面接調整と配属決定の工数増加
エリア採用での募集は、誰が面接し、誰が配属を決めるのかが曖昧になりがちです。本部やエリアマネージャーが対応する場合、各店舗の店長とのスケジュール調整や、リアルタイムに欠員状況を確認するために、その都度、電話やメールで各店舗と受入可否をすり合わせる業務が発生します。
スムーズにエリア採用を行うためには、採用管理システム(ATS)を活用し、全店舗の人員の過不足をリアルタイムで確認できる仕組みが必要です。
候補者の希望勤務地とのミスマッチ
アルバイトに応募してきた人の中には「家の近所にあるあのお店で働きたい」というように、特定の強い店舗で働く動機が強いことがあります。
エリア採用で応募したものの、希望と異なる店舗を打診された場合、辞退されたり企業に対して悪い印象を持たれたりするリスクに注意しなければなりません。
希望する店舗で採用ができない理由や打診した店舗への通いやすさ、エリア採用ならではのメリットなど丁寧に説明し、他の店舗でも働いてみたいと思ってもらうための動機づけを行いましょう。
エリア採用が効果的な業種と職種
エリア採用は、特定地域へ集中的に出店を行うドミナント展開をしている企業では高い採用効果を見込める可能性があります。
ここでは、エリア採用が効果的な業種と職種について詳しくみていきましょう。
・チェーン展開するサービス・小売業界
・製造・派遣・警備業界
チェーン展開するサービス・小売業界
コンビニ、スーパー、アパレル、飲食などのサービス業や小売業界は、生活圏内に複数店舗を展開しているケースが多く、エリア採用との親和性が高い業種です。
加えて、来店客数が天候やイベントに左右されやすく、店舗ごとの繁閑差が激しいことが特徴です。
エリア採用でスタッフを確保しておけば、「駅前店がイベントで忙しいので、郊外の店舗から応援を呼ぶこともできるようになるでしょう。
さらに、新規出店やリニューアルが頻繁に行われる場合も近隣店舗から業務に慣れたベテランスタッフを即座にヘルプとして派遣したり、異動させたりできます。オープン直後の混乱を防ぎ、初日から安定したオペレーションを実現できるでしょう。
製造・派遣・警備業界
製造業の工場ライン、イベントごとの警備、登録型派遣などの業界でもエリア採用は効果があるといわれています。
なぜなら、これらの業界への応募者は、特定の現場への帰属意識よりも、このエリア内で働ける案件があるかが重視されるためです。
これらの業界では営業所単位で広い地域のスタッフを管轄することも多く、特定の技術や資格を持った専門職の人材をエリア内で確保・共有することで、急な受注や欠員に対応しやすくなります。
特に派遣や警備業界では、1つの現場が終了してもすぐに次の現場を即座に紹介できるかどうかが、スタッフの定着率を左右します。
エリア採用の選考プロセスと成功のポイント

エリア採用を成功させるには、素早い応募者対応、エリアマネージャーと現場の連携を密にすることが重要です。
ここからは、具体的にどのようなポイントがあるのか詳しくみていきましょう。
応募から配属決定までのフロー設計
エリア採用では、特定の店舗に応募する場合と異なり、「結局どこで働くことになるのか?」という不安を抱かせやすいため迅速にその不安を払拭しなければなりません。
- 受付体制の整備
- 選考段階での応募者管理
- 採用から稼働開始までの受け入れ
まず、エリア一括で応募者を採用する際は、店舗任せにせず、本部主導のコールセンター設置や、自動的に面接予約が可能な採用チャットボットなどを導入しましょう。
また、他社に人材を奪われないためには、応募後1時間以内に返信できる体制が理想です。
また、「採用したいが、配属先が決まらない」という状態が長く続けば、応募者が辞退する原因になります。
面接官がその場で「A店なら火曜と木曜、B店なら週末に入れます」と即答できるよう、全店舗のシフト充足率や欠員状況をリアルタイムで確認できる仕組みを導入しましょう。
さらに、採用決定後に配属先の店長への引き継ぎが遅れると、初出勤日の連絡が来ないなど連絡漏れが起きやすくなります。採用管理システムで候補者ステータスを共有し、店長がスムーズにアルバイトやパートを受け入れやすいように採用後の流れを決めておきましょう。
エリアマネージャーと店長の連携強化
エリア採用を成功させるには、エリアマネージャーと、受け入れる店長との間で、認識のズレをなくすことが不可欠です。
- 欲しい人材を共有しておく
- 評価基準を統一する
まず、面接時に候補者の希望条件(勤務時間、通勤手段、稼ぎたい金額等)を詳細に聞き出し、最適な店舗を紹介するためには、欠員数だけでなく、「どのような人材が欲しいか」「今のチームに足りないスキルは何か」といった定性的な情報共有を行う必要があります。
加えて、エリア採用では複数の面接官が対応するケースもあるため、エリアマネージャー主導で定期的に面接のトレーニングを実施し、会社が求める人物像や不採用基準を統一しましょう。ロールプレイングを取り入れるのも効果的です。
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