シフト作成コラム

第二回 新人店長がたった3ヶ月で全アルバイトスタッフと信頼を築いた3つの方法。

第二回 新人店長がたった3ヶ月で全アルバイトスタッフと信頼を築いた3つの方法。

「皆のために」と間違った無理をしていませんか?

「僕はアルバイトさんのためを思って、彼らのシフト希望をできるだけ叶えてあげようとしているんです。」

ある飲食業界大手企業の研修トレーナーの方から伺ったお話です。研修時、店長の一人がぽろりとこぼしました。

「うまく行くわけがありません。全員の希望を叶えるのは不可能ですから。無理をするほどシフトが埋まらなくなって人手が不足して、自分にしわ寄せが来て…。それに、こんなに皆のためを思ってがんばっているのに、アルバイトさんにはそれが伝わらないのも何だか…」

彼は、毎回のシフト組みに非常に苦労しているとのことでした。常に人手が足りないと嘆いているとのこと。その研修トレーナーの方は、こう返したそうです。

「それは、本当に皆のためにしているのですか?」
「どういうことでしょうか」
「皆のためではなく、実は自分のためにしていませんか?ベテランバイトに気に入られたい、誰も敵に回したくない。波風を立てなくないために、言うべきことを言わず、するべきことをしないで、一人で抱え込んでいるだけではありませんか?」
「・・・・・・・」

「ブラックバイト」と言われないために

近頃は「ブラックバイト」という言葉がもてはやされるなど、アルバイトの過酷な労働環境がマスコミなどで取りざたされています。強引なシフト要求を行えば「ブラックバイトだ」とも言われかねないと、真面目な方ほど慎重になり、前述の店長のような状況に陥る可能性があります。

そこで重要になってくるのが「スタッフとの信頼関係」です。では具体的に、どのように彼らと信頼関係を築いていけばよいのでしょうか?現場によって事情は様々ですが、その例の一つとして、この研修トレーナーの方の、飲食店店長時代の体験をお伝えします。

ある基幹店舗の店長を任された時、彼は現場の仕事がほとんど分からない状態でした。アルバイトスタッフにはベテランも多く、彼よりも業務内容を熟知しています。ランチタイムの店内は戦場です。そんな中、まだ不慣れな店長にスタッフがこう言い放ったそうです。

「何やってんだよ店長!そんなトロトロやってたらオーダー上がらないよ!」

彼が非常に悔しい思いをしたのは言うまでもありません。そして、この時誓ったそうです。「3ヶ月で、彼らの信頼を勝ち取ってみせる」と。彼がその際に実践した3つの方法をご紹介します。

1.業務内容に関する知識を完璧に覚える

店長がまず行ったのは、業務内容を徹底的に頭に叩き込むことでした。マニュアルを隅々まで読み込み、誰かから質問や疑問が出たときに即答できるようにしました。「さすが社員は違う」と思ってもらえるよう、基本の知識を完璧にしたのです。

例えば料理のレシピを完璧に覚えて「これ、少し量が多いんじゃない?〇〇gにしてる?」と注意した時は、スタッフに「店長すごい!全部覚えているんですか?」と感心されたそうです。

とはいえ、現場レベルの対応ではマニュアル通りに行かなかったり、暗黙知のルールのようなものもあります。社員としての知識はもちろんですが、こうした現場での不明点は、素直にアルバイトスタッフに教えを乞いました。このようにして、万一どこかの担当シフトに穴が開いても自分が完璧に対応ができる、という状態にまでしていったのです。

2.誰もが嫌がる業務を率先して行う

次に店長は、皆が敬遠する作業を率先して行うことを心がけました。例えば厨房のグリストラップの清掃などスタッフがやりたがらない業務を、自ら黙々とこなしていきました。

このような仕事は誰しも好んでやりたがるものではありません。しかし、とても大切な業務の一つです。何もやらない人がいくら口で説明しても、説得力はありません。だからこそ店長は行動で示したのです。

「育児と一緒です」と、彼は言います。行動で示すことが、教育には何よりも大切なのだと。口で言うのは簡単ですが、実行するのは容易ではありません。また実際にその業務を行ってみることによって、アルバイトスタッフの気持ちも分かるようになるのです。

2週間ほどそれを続けたのち、アルバイトスタッフからこう言われたそうです。「店長、それは自分たちがやりますから」。その後、彼らは能動的にその仕事を行うようになりました。そして最初の頃は反発する態度を取っていたスタッフたちも、次第に変わっていったのです。

3.丁寧なコミュニケーション

店長は、普段からアルバイトスタッフとのコミュニケーションを大切にしたそうです。仕事中はもちろんですが、休憩の際などにも気取らない会話で彼らと話すことを楽しみました。

ただ気を付けたのは、場面によってきちんと言葉を使い分けること。例えば何かしらの業務を教えてもらう際には、敬語で応対したそうです。社員とアルバイトとはいえ、仕事を教えてもらう時は相手に敬意を払うことが大切です。またスタッフにも、自分が尊重されていることを実感してもらえます。

プライベートでは相手の誕生日を覚えておいて、その日はシフトの融通をきかせてあげるなど、丁寧なやり取りを積み重ねていったそうです。

信頼関係がシフト作成の鍵にもなる

信頼関係がシフト作成の鍵にもなる
このようにして3ヶ月後、店長は当初誓った通り、全アルバイトスタッフから「この店長なら」と信頼してもらえるまでの信頼関係を築くことに成功しました。これら3つのことは、よく考えれば当たり前のことです。しかし、実際にどれだけの方が実践できているでしょうか?

仕事を行っていく上で、言うべきことは言わなければいけません。時には強い言葉で伝えなければいけない時もあるでしょう。しかしそこに信頼関係がなければ「ブラックバイトだ」と一方的に思われかねません。いくら言葉では「正しい」ことを言っていても、相手に伝わらなければ意味がないのです。まず相手との信頼関係を築く。その努力を怠っていたずらに反発や批判を恐れ、ご機嫌取りばかりしていては、先へ進めません。

信頼関係さえ築ければ、例えばシフト組みで急に人が足りなくなった、繁忙期なのに人手不足、といった問題が発生しても、アルバイトスタッフへ相談やお願いをすることがぐっと楽になるのです。スタッフも店長のためならと、応えようとしてくれるでしょう。


【シフト作成コラム バックナンバー】
・第一回 シフトを組むのに一番大切なこと、それは「人」のマネジメントです
・このページのトップへ戻る

<シフト作成コラムとは>
シフトの作成・管理は単なる事務作業ではなく、人件費に関わるとても大切な業務です。現場が円滑に回るよう、スムーズに効率良く実施できれば理想的ですが、現実はなかなかうまく行きません。そこには様々な事情や悩みが存在しています。
そのような問題にどのように向かい合うのか、解決のために何をすべきなのか?「シフト作成コラム」では、現場担当者の方からお聞きした体験談やアドバイス、役立つ情報などをお届けします。

お問い合わせはお気軽にどうぞ。受付時間:平日10時~18時 03-3523-2155